パテック フィリップが25年ぶりの新コレクション発表に続き、再び注目を集めている。今回の話題はブレスレット一体型のステンレススティール製スポーツウォッチである。2006年に登場したSS製Ref.5711 ノーチラスは、それ以来ヘッドラインを独占してきた。このモデルは10年にわたる長いウェイティングリスト、スーパーコピー時計製造終了、さらに1年限定のグリーンダイヤルやティファニーブルーのダイヤルで2度の“凱旋”を果たし、その終了プロセスがむしろ人気を加速させたといっても過言ではない。
Patek 5711/1500A
本日、時計コレクターたちの背筋を震わせる5711という文字列が再び響きわたることとなった。SS製Ref.5711が今回限りで復活したのだ(おそらく本当に最後の登場となるだろう)。今回復活を果たしたのは、手彫り装飾が施された特別仕様のRef.5711/1500Aである。これはパテック フィリップが1点ものとして製作し、2024年11月25日に開催されるチルドレン・アクション・ガラ(Children Action Gala)でオークションに出品される予定だ。
チルドレン・アクションは、1994年にスイスの起業家ベルナール・サブリエ(Bernard Sabrier)氏によって設立。ジュネーブを拠点とするこの財団は、世界中の貧困に苦しむ子どもたちの生活を改善することを使命としており、これまでに21万5000人以上の子どもたちを支援してきた。チルドレン・アクション・ガラは2年に1度開催される資金調達イベントであり、財団のプロジェクトを支援するための厳選されたオークションアイテムが出品される。そのなかには時折、きわめて重要な時計が含まれることがある。
Patek 5711/1500A
2005年以降、パテック フィリップはチルドレン・アクション・ガラのオークションで1点ものの特別な時計を提供し、チルドレン・アクションを支援してきた。これまでに提供された時計には、2007年のRef.6000T カラトラバ、2009年のRef.5180T スケルトン、2012年のRef.5131J ワールドタイム、2015年のRef.5396T 年次カレンダー、2018年のRef.5524T カラトラバ・パイロット・トラベルタイム、そして2022年のRef.5270T 永久カレンダー・クロノグラフなどがある。これらはいずれもチタンケースや、文字盤に特別な仕様が施された1点ものであり、チルドレン・アクション・ガラに出品されたパテック フィリップの時計が毎回驚異的な価格を記録するのも不思議ではない。それぞれのリファレンスのなかでも最高額となっており、特にRef.5270Tは2年前に970万スイスフラン(当時の相場で約14億3070万円)で落札された。今回のRef.5711/1500Aがこの名誉を手にするには、650万3500ドル(日本円で約9億9480万円)を超える必要がある。とはいえこれらの高額落札はすべてよい目的のために使われている。
今回のRef.5711が本当に最後のSS製モデルとなるのか、憶測が飛び交うことは間違いない。しかし時計そのものの魅力に目を向けると、パテック フィリップのふたつの側面が巧みに融合した実に興味深いモデルであることがわかる。今日の時計業界において、伝統的なスイススタイルの時計製作と、現代的なラグジュアリーウォッチの両方で成功を収めるブランドはほとんど存在しない。そのなかでパテックは、トップレベルでこの微妙なバランスを保ち続けている。たとえばRef.5260/1455R アクアノート・ルーチェ“レインボー”のような新境地を開拓しつつ、Ref.5160/500R レトログラード日付表示針付永久カレンダーのように、歴史を尊重したモデルも発表している。
5711/1500Aのケース、ベゼル、ブレスレット、ケースバックには“マオリ風”のモチーフが手彫りされている。この彫刻スタイルはニュージーランドのマオリ族をほうふつとさせるものであり、パテック フィリップにとって新しい試みであるが、その全体的なデザインは5160/500RやRef.6002R スカイムーン・トゥールビヨン、そして伝説のRef.5175R グランドマスター・チャイムにも通じるものがある。工芸の観点から見ると、このような手彫りの装飾はパテックがハイコンプリケーションモデルで何度も採用してきた技法である。今年のチルドレン・アクションのために製作されたこの5711は、手彫り装飾が施された最初のノーチラスであり、同社初のスポーツウォッチやSS製ウォッチとしても同様に、初の試みとなる特別なモデルである。
Patek 5711/1500A Cufflinks
パテック フィリップ Ref.205/9057A-010のカフリンクス。
このユニークノーチラスの文字盤はダークグレーで、わずかにブラウンのニュアンスが含まれている。また時計には手彫りが施されたカフリンクスも付属する。このダイヤルカラーは公式には表記されていないが、カフリンクスについては“チャコールグレーのサンバーストセンターとブラックグラデーションの縁”を特徴としていると記されている。
2024年のチルドレン・アクション・ガラは、財団設立30周年を祝う特別な夜となり、そのなかで5711/1500Aが史上最も高額で落札されたノーチラスとなる可能性に挑む。オークションはフィリップス・バックス&ルッソのオーレル・バックス(Aurel Bacs)氏がライブで進行し、全収益はチルドレン・アクションに寄付される予定だ。同財団の運営モットーである“最初の人権は、子ども時代を持つこと”に基づき、世界中の子どもたちの支援に活用される。
オーデマ ピゲは外装の内製化を推進してきた。そこにはダイヤルもむろん含まれ、優れた質感と多彩なカーリングで個性を確立している。
ファンにはお馴染みのメガタペストリーダイヤルが、かつてないスモークディープレッドに染まった。この「ロイヤル オーク オフショア ダイバー」の新色ダイヤルは、日本からの要望で生まれたのだという。中央付近では艶感があり、最外周ではほぼブラックとなるディープレッドのグラデーションは、ダークチェリーのよう。ダイビングスケールを刻む逆回転防止インナーベゼルも、同色のツートンでコーディネート。新たなダイヤルの色表現に挑んだ日本限定モデルは、ケースはホワイトゴールド製、ベゼルはブラックセラミック製とし、リューズトップと針、インデックスにはピンクゴールドをあしらうことで、華やかなラグジュアリー感と頑強な印象との融和が巧みに図られた。
オーデマ ピゲスーパーコピー代引きロイヤル オーク オフショア ダイバー 42mm Ref.15720CN.OO.A002CA.02 984万5000円(税込) 日本限定100本
18KWGケース&ブラックセラミックベゼル。42mm径、14.3mm厚。30気圧防水。自動巻きCal.4308(2万8800振動/時)、パワーリザーブ約60時間。
オーデマ ピゲの色表現に息づく哲学とは
1993年に生まれた「ロイヤル オーク オフショア」は、1998年のチタン採用を皮切りに、オーデマ ピゲによる素材の実験場として機能してきた。その後、セラミック、ラバー、フォージドカーボンなど、彼らが用いた素材は多岐に渡る。それはダイヤル表現においても同じだ。1996年にはレッド、イエロー、グリーン、パープルといった、メゾンにそれまでなかったビビッドなカラーリングも登場。2001年にはエンボス加工が初導入され、現在のメガタペストリーが実現された。
現行の37mmの“オフショア”のダイヤルパターンには、ギヨシェによるグランドタペストリーとエンボス加工を施したレディタペストリーを展開。またライトブルーやサーモンピンクといった、かつてあったビビッドな色調が復活する兆しを見せている。一方で、楽器用アンプのイコライザーを模した“ミュージック エディション”のような大胆なダイヤルも登場している。多様なダイヤル表現は、内製化を進めた結果、実現することが可能になった。一部の特殊なダイヤルを除いて大半が自社製となったことで、コストを考慮することなく、納得が行くまで試作を繰り返すことができるようになったからだ。今回の日本限定のスモークディープレッドダイヤルでも、かなりの数の試作品が作られたという。
グラデーションダイヤルは近年、その数を増やしており、バーガンディダイヤルもまた然り。しかし、この日本限定モデルほど深い赤が黒に移ろうような色表現は今までなかった。これをダークチェリーのようだと前述したが、実は黒みを帯びた赤は飛鳥時代から高貴な色として使われてきた色で、深緋(こきひ)、黒緋(くろあけ)などと呼ばれる伝統色である。それをグラデーションに仕立てることで、日本人が好む控えめな華やかさが表現された。
“オフショア”を含むロイヤル オークコレクションのダイヤルは、長らくメッキやガルバニックによる着色が多用されてきた。前に述べた、1996年に登場したビビッドカラーのダイヤルは数少ない例外で、ラッカー仕上げであった。ラッカーが少なかったのは、タペストリー装飾の立体感を損なうからであったが、日本限定の“オフショア ダイバー”もそうであるように、近年はラッカーによる色表現が盛んに試されるようになっている。
オーデマ ピゲによれば、どのラッカーダイヤルも8層以上塗料を重ねているとか。グラデーションとなれば、層の数はさらに増す。それでもなお、メガタペストリーの繊細で上質な仕上げが見て取れるのは、予想するにエンボス加工の深さをコントロールしているからであろう。これも内製化の、賜物の1つだ。
そしてすべてのカラーダイヤルは、酸化や紫外線による色褪せを防ぐためラップ塗装を施している。しかしその厚みは、おそらくかなり薄い。他社では、凹凸模様を埋めるほどにラップ塗装を厚く施す。インデックスやロゴをプリントする平滑面を得るためだ。しかし“オフショア”は、植字インデックスである。またAPマークを配する部分と、“オフショア ダイバー”だけに配される300m/1000ft AUTOMATICのプリント文字のスペース分は、最初から平滑に作られている。これによってグランドタペストリーを埋めるほどラップ塗装を厚くする必要がなく、美しい装飾と色表現を邪魔しない。
ロイヤル オーク オフショア日本限定を見る
優れた文字盤を作るには自社で完璧にコントロールする必要がある
来年、創業150周年を迎えるオーデマ ピゲは、長い歴史において顧客のオーダーに応えた1点もののダイヤルを作り続けてきた。優れたダイヤルメーカーとタッグを組み、また2000年以降は内製化を進め、さまざまな表現が試みられてきた。内製化のきっかけとなったのは、2000年のリシュモングループによる、ダイヤル会社スターン・クレアシオン社の買収劇だった。同社とオーデマ ピゲとの長い信頼関係が、ここで崩れ、その後10年をかけてダイヤル内製化の設備と人材を整えたのだ。その中には、プチタペストリーを織り成すギヨシェマシンと、その技術者も含まれる。
幸いにも、メゾンにはダイヤルメーカーと協業した時代の膨大な資料が残っていた。そこからダイヤル製造のノウハウと、色やデザインに関する哲学を継承。また内製化によって前述したエンボス加工、さらにPVDも導入された。
今年登場した限定モデル「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー “ジョン・メイヤー”」の、方向・サイズがランダムな無数の突起が光を乱反射するクリスタルスカイダイヤルは、エンボス加工とPVDによる産物である。昨年、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」初のSSモデルで試みられたエンボスダイヤルは、ギヨシェ職人ヤン・フォン・ケーネルの手彫りを原型とする。またアニタ・ポルシェのエナメル工房にダイヤル製作を委ねた限定モデルも生まれている。
内製化と、外部の才能とが組み合わされ、メゾンのダイヤル表現は無限に広がる。そしてユニークピースのオーダーや各国からの特別仕様の要望に、今も柔軟に応えている。
“オフショア”のレギュラーモデルにおいても、2021年に、新たなメガタペストリーのモチーフが生まれている。各スクエアを十字の“ミニアーム”でつなげ、さらに縦方向のスネイルパターンを加えて、模様を一段と複雑にしたのだ。この新メガタペストリー誕生に伴い、グラデーションも初めて試みられた。装飾とカラーリングの進化によって、表情は一層ニュアンス豊かになった。
上の2つは、新メガタペストリーとグラデーションとを受け継ぐ新作。右のスモークブルーも、左のスモークブロンズもラッカー仕上げであり、繊細な色の移ろいを表すために10層以上が塗り重なる。しかしスクエアよりも浅く繊細な縦方向のスネイルパターンがクッキリと目にできるのが、見事である。ダイヤルの内製化を進めて、およそ四半世紀。オーデマ ピゲのラッカー技術は、驚くほどの高みに至った。
AP オーデマ ピゲ公式サイトを見る
ロイヤル オーク オフショア オートマティック 37mm
オーデマ ピゲはまた、ガルバニックやメッキ技術も研鑽してきた。前述したように、ロイヤル オーク ファミリーのダイヤルに多用してきたからである。その技術が、上の新作「ロイヤル オーク オフショア オートマティック」に結実した。
ケース径は37mm。ダイヤルは、グランドタペストリーのギヨシェであり、その表面は針が写り込むほどに完璧なポリッシュに仕上げた上から、ロジウムメッキを施している。しかも元来は銀白色であるロジウムが、ほのかなアイボリーの色合いを浮かべているのが、不思議だ。その技術的なアナウンスは一切されていないが、鏡面状に輝くアイボリーダイヤルは、これまでになかったまったく新しい表現である。
グランドタペストリー装飾の上に載るAPロゴは、植字。ピンクゴールド製の針と植字インデックスには、白いスーパールミノバが載せられ、淡いアイボリーと絶妙にカラーコーディネートされている。ダイヤルも針もインデックスも光に輝くが、色のコントラストで視認性は失われない。インナーベゼルはグレーとし、象徴的な八角形ベゼルをグレーラバーでコートして、ダイヤルとは一変、色と輝きをなくしたことで全体をグッとシックな雰囲気に寄せた。
オーデマ ピゲのダイヤル表現は、時計としての機能を失うことなく美を追求し、身に着ける人が主役になるよう配慮されるのだ。
ジャガー・ルクルト、ロンジン、チューダーなどのブランドで見られるように、ヴィンテージモデルにインスパイアされたデザインが今人気沸騰中だ。特にオメガは過去の素晴らしいデザインアーカイブを生かすことに優れている。オメガが2014年に発表したシーマスター 300 マスターコーアクシャルは、間違いなく最も期待された作品のひとつであり、ノスタルジアの波に乗るだけでなく、ダイバーズウォッチの揺るぎない人気も獲得している。レトロなスタイリングとサイズ感、そしてオメガの最新技術が完璧に融合したこのモデルは、皮肉屋な時計ファンをも虜にしてやまない。我々は最近(掲載当時)、長期にわたるレビューのため、米国に初めて届いたシーマスター 300を手に入れ、その性能を確認するためかなり過酷な条件下でスキューバダイビングを敢行した。
この新しいモデルを詳しく潜り込む前に、その系譜を振り返ってみる価値があるだろう。1957年、この最新モデルにインスピレーションを与えた初代シーマスター 300までさかのぼろう。
すべての始まり: シーマスター 300(1957年)
初代シーマスター 300 (CK2913)
オメガスーパーコピー代引き1950年代半ばはスキューバダイビングブームの時代であり、時計メーカーもそれに応えるべくタイムピースを続々と発表した。もちろん1930年代には、パネライがロレックスのケースに懐中時計のムーブメントを組み込み、イタリア海軍のフロッグマンに着用させたが、ねじ込み式リューズと回転式経過時間ベゼルを備えた専用ダイバーズウォッチとしては、ブランパンが1953年に発表したフィフティ ファゾムスが初出である。翌年にはロレックス サブマリーナーとゾディアック シーウルフが登場し、ほかのメーカーもすぐに追随した。1957年、オメガはレースドライバー、科学者、ダイバーのために設計されたスピードマスター、レイルマスター、シーマスター 300というスポーツウォッチの “マスター”トリオを発表した。最も古い血統を持つ後者(Ref.CK2913)の初代シーマスターが発表されたのは1948年である。しかし、このシーマスターは水中での使用を想定して作られたとは言い難かった。その名に似つかわしくない小型のドレスウォッチだったからだ。
シーマスター 300は、サブマリーナーに対するオメガの回答であり、それ以来その役割を担っている。ただ名前は少し誤解を招くかもしれない。というのもデビュー当時、この時計の正式な防水性能は200mまでしかなかったからだ(オメガによれば、試験装置の限界だったそうだ)。ブロードアロー針、薄いコインエッジベゼル、ダイヤルの筆記体など、サブマリーナーよりもハンサムな時計であったことは間違いない。直径39mmのケースと愛らしい形状の針は、同時代のスピーディやレイルマスターと共通で、シーマスター 300には頑丈なオメガ自動巻きムーブメントのCal.501が搭載されていた。これら最初期のオメガのダイバーズウォッチは、同じヴィンテージのサブマリーナーよりも希少価値が高く、コレクターも多い。アクリル製のベゼルインサートは割れやすく、しばしば交換された。今思えば、この時計は素敵だったが、サブマリーナーのような人気の持続力はなく、おそらく60年代まで使い続けるにはやや“可憐”過ぎたようだ。初代シーマスター 300は、新世代に取って代わるまで、7年間のロングランを記録した。
60年代と英国海軍仕様モデル
1964年、オメガはRef.165.024(デイトなし)と166.024(デイトあり)の新生シーマスター 300を発表した。この時計は先代に類似していたが、古風なブロードアロー針や薄いベゼルは廃止され、ケース径は当時としては巨大な42mmに拡大された。この時計は、より現代的な雰囲気をまとった存在となった。幅広のベゼルは重厚感があり、ミニッツマーカーが全周にわたって配置されている。針もより頑丈になり、いわゆるソード型針が採用された。夜光は大量に塗布され、ダイヤルマーカー、10分ごとのベゼルマーク、そして巨大な針はすべて、ナイトダイビングの視認性を確保するため松明のごとく輝いた。ケースは、CK2913のストレートラグを廃し、進化したスピードマスターラインと共通のねじれた“ボンベ”ラグに変更され、リューズガードが採用された。第2世代のシーマスター 300はさらに大きな成功を収め、スポーツダイバーズとしてだけでなく軍用時計としても人気を博した。
シーマスター 300 Ref.165.024。photo credit: 1stdibs
英国海軍モデルは長いあいだコレクターに愛されてきた。最も有名なのは、女王陛下のフロッグマンたちに数十年にわたって支給された伝説的なロレックス サブマリーナー“ミルサブ”である。しかし、ミルサブを民間用と区別する特徴であるソード型針とフルマークのベゼルは、ロレックスが考案したものではなく、実はオメガからコピーしたものである。初期のRef.5512/5513サブマリーナーが英国の操舵手たちに愛用された一方で、60年代半ばには、オメガの新しいシーマスター 300が優れた潜水用ツールとみなされ、英国海軍のダイバー用として採用された。これらの時計は、溶接されたストラップバー、ケースバックの刻印、トリチウム夜光の使用を示すダイヤルの“サークルT”表記によって区別される。後期のバージョンには、12時位置のダイヤルマーカーに特大の三角形があしらわれている個体もあるが、これは民生モデルにも採用された特徴である。この軍用シーマスター 300は、ロレックスのミルサブよりも希少だが、その理由は支給期間がわずか2、3年であったからである。しかし価格はそれほど高くないため、優れたヴィンテージウォッチの選択肢となる。
シーマスター 300が英国海軍のダイバーに支給されたのは、再びロレックスに取って代わられる前の数年間だけで、後者は視認性確保のため前者の針とベゼルをコピーせざるを得なかった。ロレックスが優れていたのは防水性で、これは強力なツインロックねじ込み式リューズのおかげだった。リューズ機構はオメガのアキレス腱だった。オメガは“ナイアード(ギリシャ語で“水の精”の意)”と呼ばれる圧力密閉式リューズの実験を行っていた。理論的にはいいアイデアだったが、実装段階では信頼性が低く、ナイアード式リューズは圧力が弱い浅い水深で浸水しやすい傾向があった。オメガがレストアしたバージョンは、通常ねじ込み式リューズが取り付けられていた。
第2世代のシーマスター 300は1970年まで生産が継続されたが、ファンキーな形状、実験的なベゼル、向上した防水性など、より時代の要請にマッチした時計、いわゆる“ビッグブルー”シーマスター クロノグラフ、伝説的なプロプロフ、角ばったSHOM(海軍水路海洋局を意味する刻印がされたシーマスター200)などに取って代わられ、生産終了となった。CK2913や165.024のようなクラシックなラインを失い、初期のシーマスターとの類似性は完全に失われた。このデザインの変化とリファレンスナンバーの急増は、問題を抱えるブランドの歴史を物語っていた。オメガは1970年代の暗黒の時代に生き残るために戦っていたのである。もしオメガがシーマスター 300を1960年代と同じように生産し続けて少しずつ改良を加えていたら、かつてのライバルであるロレックス サブマリーナーと同じように、人気のある憧れの時計になっていただろうと考えるとおもしろい。
現代のシーマスターシリーズ
1970年以降、シーマスター 300の名前はカタログから消え、オメガのダイバーズウォッチは単にシーマスター プロフェッショナルと呼ばれるようになった。90年代後半になるとジェームズ・ボンドシリーズがリブートされ、シーマスターが再び脚光を浴びるようになった。新しいボンド役、ピアース・ブロスナン(Pierce Brosnan)氏に新しい時計を与えるため、007のコスチュームデザイナーであるリンディ・ヘミングス(Lindy Hemming)氏はブルーダイヤルにスケルトンのソード型針をあしらったオメガ シーマスターを選んだ。ヘミングがほかの選択肢のなかからシーマスターを選んだのは、ボンドが所属していたイギリス海軍とオメガの歴史が大きく関係している。ヘミングス氏によれば、“私が20代のころ、当時の軍人や海軍関係者たちと知り合いになったが、彼らはみなオメガを愛用していた”という。この時計はオメガに露出の機会をもたらし、シーマスターの人気を再び不動のものにした。
ボンドが着用していたのはブルーダイヤルのシーマスターだったが、おそらくボンドが持つべきだったのは同時期に製造されたRef.2254だろう。そのリファレンスは1960年代のシーマスター 300に近い外観で、ブラックダイヤル、同じソード型針、フルマークベゼルを備えていた。それでも、ブロスナン演じる派手なボンドは90年代を通じてブルーモデルを着用しており、007が元海軍軍人にふさわしいシーマスターを着用したのは、ダニエル・クレイグがボンドを引き継いだ2006年になってからだった。シーマスター プラネットオーシャンは、すぐさまかつてのシーマスター 300と比較された。ダイヤルのマーク、ベゼル、針、そしてオメガの特徴であるボンベラグがミックスされ、オメガの新規購入層やシーマスター 300のかつての栄光への回帰を切望する人々にアピールした。この時計はオメガにとって大ヒットをもたらしたが、純粋主義者にとっては、大きすぎたり派手すぎたりして、まだしっくりこないという感があった。だからこそ、2014年に発表されたシーマスター 300 マスターコーアクシャルは、まさしく待ち望まれていたものだ。それは40年かけてじっくり作られた時計のように感じられた。そしてオメガはそれを正しく世に送り出した。
シーマスター 300 マスターコーアクシャル
動作中のシーマスター 300 マスターコーアクシャル。Photo credit: Christopher Winters for HODINKEE
深さ42mほど水中の沈没した船の石炭貯蔵庫の上を旋回していたが、どうしても手首の時計に目が行ってしまった。3℃の水温によって窒素中毒が増幅されたのかもしれないが、私は突如として閃いた。これほどタイムトラベルに近づいたことはない。ここで、スペリオル湖に70年間眠っていた船を最初に発見したダイバーたちと同じように眺めているのだ。手首に機械式時計をつけ、貴重な潜水時間を計測しながら、無重力状態で遊泳する…そう、まさに1957年であったかのように。
オメガは人気の第2世代シーマスター 300を再創造するのではなく、さらにさかのぼり、初代モデルに戻ったのだ。スピードマスター“ファースト・オメガ・イン・スペース(FOIS)”で行ったように、オメガは1957年に発売された時計に忠実にオマージュを捧げている。ストレートラグ、リューズガードなし、薄いベゼルインサート、ブロードアロー針などがその象徴だ。しかし完璧なレプリカではなく、シーマスター 300マスターコーアクシャルにはいくつかのスマートな改良が加えられている。
質感の高いマットなダイヤルには、カットアウトされたマーカーがあしらわれている。Photo credit: Gishani Ratnayake for HODINKEE)
スティール製ケースはオリジナルの39mmから41mmとなった。前述のスピーディ“ウォーリー・シラ ー”は39mmサイズを忠実に再現したが、41mmはダイバーズウォッチとしてはほぼ完璧なサイズだ。ベゼルはもちろん、割れやすいアクリル製ではなく、オメガお得意のリキッドメタル製である。このアモルファス金属合金は耐食性と耐摩耗性に優れ、光沢のある外観は古いアクリルのような外観を巧みに再現している。風防は当然サファイア製だが、初代のようなドーム型形状となっている。夜光はトリチウムの代わりにスーパールミノバが使用されているが、まるで60年ものあいだ、引退したダイバーの引き出しのなかで熟成されていたかのような完璧なゴールドを帯びたフェイクパティーナだ。ダイヤルはマットなブラックで質感が高く、それがさらに経年劣化しているように見えるが、斜めから眺めると素晴らしい。CK2915のような小さな三角形のダイヤルマーカーは、ダイヤル上にプリントされているのではなく、ダイヤル下の層に挟み込まれている。さらに特筆すべきは、オメガのヴィンテージモデルへのオマージュとして、このモデルではデイト表示が省かれていることだ。
オメガのトレードマークであるケースバックにエングレービングされたシーホース(私は希望していたが)の代わりに、シーマスター 300は幅広なサファイアのシースルーバックを備え、時計のフルネームの一部である“マスターコーアクシャル”ムーブメントのCal.8400がのぞいている。透明な裏蓋からは、放射状の美しい装飾が施された自動巻きムーブメントを眺めることができる。また同ムーブメントはシリコン製ヒゲゼンマイを採用しており、軟鉄製のインナーケースを使わずとも1万5000ガウス以上の耐磁性能を実現している。この高い耐磁性をさりげなく誇示している点も特徴だ。耐磁性に加え、このムーブメントはツインバレルによる約60時間のパワーリザーブ、コーアクシャル脱進機とフリースプラングテンプを備え、クロノメーター認定まで受けている。また時計をハックしたり分針を動かしたりすることなく、時針を1時間単位で進めたり遅らせたりできる、気の利いた“タイムゾーン”機能も備えている。初期のオメガのコーアクシャルムーブメントは、ETA2892を改良したものだったが、Cal.8400はオメガの研究開発の集大成であり、現在最も優れた自動巻きムーブメントのひとつとして数えられる。
Photo credit: Christopher Winters for HODINKEE
ムーブメントとベゼルだけでなく、ブレスレットもまた1957年当時のデザインよりも、2014年の現代的な仕様に仕上がっている。無垢材のリンクを使用した3連ブレスレットには、折りたたみ式のプッシュボタン式デプロワイヤントがあり、隠し延長機能が付いている。クラスプの内側には“PUSH”と書かれた小さなレバーがあり、ブレスレットを約2.5cmほど簡単に伸ばすことができる。しっかりとつくり込まれたブレスレットはデザインも優れているが、ロレックスのグライドロック・クラスプ機構にはおよばない。私はプッシュボタン式のクラスプがあまり好きではないが、その主な理由は、何年も前にダイビング中にプラネットオーシャンのクラスプが突然開いてしまったことから不安感を抱くようになったからだ。エクステンションは厚手のウェットスーツの袖をとおすには十分な長さがなく、ドライスーツの袖口に時計を収めることができたのは、ブレスレットの長さをまったく調整しなかったからだった。ブレスレットのセンターリンクはポリッシュされており、ドレッシーでヴィンテージな雰囲気を醸し出しているが、正直ツールウォッチとしては少し不釣り合いに感じた。しかし、プールサイド以外で着用する予定のない購入者にとっては、私のブレスレットに対する不満はほとんど気にならないだろう。
パテナイズされたトリチウムの外観にもかかわらず、夜光は明るく、現代的なスーパールミノバである。Photo credit: Gishani Ratnayake for HODINKEE
オメガはシーマスター 300 マスターコーアクシャルに、SS、チタンにブルーのダイヤルとベゼル、チタンとセドナゴールドのツートンカラー、セドナゴールド無垢など、いくつかのバリエーションを展開している。私のお気に入りは私がテストしたものと同じ、神とクストーがダイバーズウォッチに求めたクラシックなSSモデルだ。ソリッドリンクのブレスレットでは少々重かったが、オメガは独自のNATOストラップの販売も計画している。それは間違いなく高品質で高価格のものになるだろう。私はしばらくテスターをNATOに装着してみたが、その見た目はデスクダイバーではなく、むしろ本物のクリアランスダイバーのように見えて素晴らしかった。
実用上の性能はどうだったのだろうか? 氷点下スレスレの深い海で4日間、8回のダイビングを敢行したが、クロノメーター級の精度を維持した。ベゼルはグリップ力があり、5mm厚のネオプレーン製手袋をはめた手で回してもその動作は素晴らしかった。視認性は申し分ないが、1964年にオメガがソード型針に切り替えた理由が分かった。ブレスレットは、今回もサイズ調整せずに使用したためサイズが合わなかったが、腕にぴったり合ったサイズに調整した場合、袖の上から使用するにはクラスプの延長が足りなかったかもしれない。全体としてこの時計はよくできており、60年前のデザインにもかかわらず今でも立派な潜水時計である。
リキッドメタルのベゼルインサート。Photo credit: Gishani Ratnayake for HODINKEE
シーマスター 300 マスターコーアクシャルには“悪い”点を挙げることはほとんど不可能に近い。フェイクパティーナのマーカー(私は気に入っている)やポリッシュ仕上げのセンターリンク(私は好まない)、シースルーバック(私はソリッドバックのほうが好み)が気に入らない人もいるだろう。しかしこれらはすべて些細な違いである。この時計はホームラン(クリケットファンにとっては“6”)に限りなく近い。ジャガー・ルクルトのヴィンテージトリビュートモデルやチューダー ブラックベイと同じ条件を満たしているが、耐磁ムーブメントを搭載することでさらに1歩進んでいる。6600ドル(2014年当時の定価。日本の定価は税込74万8000円)と決して安くはないが、かつてのライバルであるサブマリーナーよりも安価でありながら、同等の品質を備えている。レトロなデザインは、大衆よりも歴史を知るごく一部の時計マニアに評価されるものであり、プラネットオーシャンに引かれる人はまだ多いだろう。しかしオメガは自らの歴史を尊重し、それを効果的に活用することを好むブランドのひとつである。シーマスター 300 マスターコーアクシャルは、その最新の証拠である。
ブライトリングは、プレミエ、ナビタイマー、クロノマットの3つの人気モデルに、同社初の永久カレンダークロノグラフムーブメントを搭載し、発表した。これらのモデルはすべてブライトリング専用の永久カレンダームーブメントである新Cal.B19によって駆動する。このムーブメントは、ブランドにとって技術的に大きな進歩であり、同社のマニュファクチュールムーブメントにおける15年の進歩を象徴している。
上から順に、プレミエ B19 ダトラ 42、ナビタイマー B19 クロノグラフ 43 パーペチュアルカレンダー、スーパークロノマット B19 44 パーペチュアルカレンダー。いずれも140周年記念の限定モデルである。
Cal.B19はブライトリング初の永久カレンダークロノグラフムーブメントであり、2009年のCal.01で始まった同社のマニュファクチュールムーブメントの系譜に基づいている。それ以来、ブライトリングはGMTやスプリットセコンドなどのキャリバーを導入し、コレクションを強化してきた。Cal.B19は、フルカレンダー(月・日・曜日表示)とムーンフェイズを搭載した独自の永久カレンダームーブメントで、約96時間ものパワーリザーブを誇り、2万8800振動/時(4Hz)で動作する。また同ムーブメントはCOSC認定を受けており、クロノグラフはコラムホイールと垂直クラッチを採用している。これによりクロノグラフの精密なスタート、ストップ、リセットが可能となる。22Kゴールド製の自動巻きローターには、スイスのラ・ショー・ド・フォンにあるブライトリングの歴史的な工場が刻まれている。
ブライトリングスーパーコピー時計 代引きは創立140周年を記念して、Cal.B19を搭載した3つの限定モデルであるプレミエ、ナビタイマー、クロノマットを発表した。共通して18Kレッドゴールド(通常は5Nゴールド)のケースを備えており、各140本限定、メーカー希望小売価格は各777万7000円(税込)となっている。さらにこれらの限定モデルは、サファイア製のシースルーバックをとおしてCal.B19を鑑賞できるようになっている。
プレミエ B19 ダトラ 42は、42mmの直径と15.6mmの厚さを持ち、ラグからラグまでの長さは50mmとなっている。RG製ケースのほか3つの限定モデルには同じムーブメントが搭載されているため、ダイヤルレイアウトも共通している。3時位置のインダイヤルには日付とクロノグラフのミニッツカウンター(内側に配された目盛り)が、6時位置には月とうるう年表示(赤い針)が表示される。そして9時位置のインダイヤルには曜日表示とスモールセコンドが表示され、12時位置にはムーンフェイズが配置されている。このデザインはミッドセンチュリーのインスピレーションに基づいており、ムーンフェイズにはスタイリッシュな月面の人が描かれている。ダイヤルはブラックでアラビア数字のインデックスが施され、ブラックのインダイヤルには同心円状の装飾が施されている。外周にあるゴールドの秒目盛りはブラッシュ仕上げだ。ストラップはブラックのアリゲーターで、ゴールドのフォールディングバックルが付属する。
ナビタイマー B19 クロノグラフ 43 パーペチュアルカレンダーは直径43mm、厚さ15.6mm、ラグからラグまでの長さは49mmで、プレミエとほぼ同じサイズである。ダイヤルレイアウトもプレミエと類似しているが、これはケースと合わせたRGのダイヤルとインデックスが特徴となっている。またナビタイマーならではのクラシックな計算尺付きベゼルが装備されており、ムーンフェイズはよりリアルな月の描写が施されている。これはナビタイマーがもともと科学的なツールとして設計されたことへのオマージュともいえる。
最後にスーパークロノマット B19 44 パーペチュアルカレンダーについてだ。RGのケースは直径44mm、厚さ15.3mm、ラグからラグまでの長さは53.5mmである。クォーツ時計が主流だった1983年、ブライトリングはその流れに逆らってクロノマットを発表した。この時計はイタリアのフレッチェ・トリコローリ(アクロバット飛行部隊)のために設計された自動巻きモデルである。ベゼルには15分ごとに刻まれた特徴的なライダータブがあり、ひと目でそれと分かる。数カ月前にブライトリングのヴィンテージウォッチの巡回展を見に行った際、ブランドのヘリテージ部門責任者であるジャンフランコ・ジェンティーレ(Gianfranco Gentile)氏は、イタリアで育った彼にとってクロノマットがすべてであったと語っていた。
このシンプルなコメントがクロノマットに対する考えを改めさせた。この時計はよくも悪くも1980年代の象徴だ。少し目立つデザインだが、そのライダータブやルーローブレスレットによって多くの人がすぐに識別できる存在となっている。今回のクロノマット パーペチュアルクロノは、そのルーローブレスレットにインスパイアされたラバーストラップで提供される。
最後に、各アニバーサリー限定モデルはスエード張りの木製ウォッチボックスに収められ、収納用の引き出しやトラベルポーチ、さらには特別版の書籍『Breitling: 140 Years in 140 Stories(リッツォーリ社、2024年)』が付属する。この書籍はオーナーが購入したアニバーサリーモデルの画像が表紙にデザインされた特別版となっている。
我々の考え
Cal.B19はブライトリングにとって技術的に大きな進歩であり、これを3つの異なるデザインで展開するのは理にかなっている。プレミエはまるで、大きな現代版ユニバーサル・ジュネーブ トリコンパックスのように純粋なミッドセンチュリースタイルのようだ(パーペチュアルカレンダーとして仕上げられているが)。一方でスーパー クロノマットは、スケルトンダイヤルによって現代的で最先端のデザインが強調されている。そしてもちろん、ブランドの象徴であるナビタイマーにもこれは搭載されているのだ。それぞれのモデルは異なるアプローチで仕上げられており、各モデルラインの目的に忠実なデザインがなされている。どのモデルも大振りだが過度に主張しすぎることはなく、まさにブライトリングのパーペチュアルカレンダークロノグラフに求められる特性を体現しているといえるだろう。
一方でパテック フィリップを除くと、永久カレンダークロノグラフの競合はあまり多くない。IWCも過去に同様の価格帯で永久カレンダークロノグラフをリリースしており、さらにハブリング²は約2万5000ドル(日本円で約360万円)でSS製の永久カレンダークロノグラフを製造している(驚くべきことにハブリング²は3万ドル、日本円で約430万円未満でラトラパンテをつくっている)。
ブライトリングがSS製の永久カレンダークロノグラフを展開するのをぜひ見てみたいと思う。そして、それが140周年記念のあとに登場するかもしれないという期待もある。
確かにプレミエの限定モデルを見たとき、ユニバーサル・ジュネーブのトリコンパックスを思い浮かべずにはいられなかった。またブライトリングが最近このブランドを買収したことも頭をよぎった。今年の初め、CEOのジョージ・カーン(George Kern)氏が私たちに語ったように、復活したUG(ユニバーサル・ジュネーブ)からの製品発表はまだ少し先の話である。しかしもしプレミエのようなリリースが、ユニバーサル・ジュネーブからのよりエレガントなモデルの基礎を築いているのだとしたら、たとえそれがもっと小さく厚さ15mm以下のモデルであっても、私は文句は言わないだろう。
だが今のところ、ブライトリングがその印象的な製造能力をさらに強化し続けているのは素晴らしいことだ。
基本情報
ブランド: ブライトリング(Breitling)
モデル名: プレミエ B19 ダトラ 42 140周年アニバーサリー(Premier B19 Datora 42 140th Anniversary)
型番: RB19401A1B1P1
直径: 42mm
厚さ: 15.6mm
ラグからラグまで: 50mm
ケース素材: 18Kレッドゴールド
文字盤: ブラック
インデックス: アプライドアラビア数字
夜光: あり、スーパールミノバの時・分針
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブラックアリゲーター、18Kゴールド製フォールディングバックル
モデル名: ナビタイマー B19 クロノグラフ 43 パーペチュアルカレンダー 140周年アニバーサリー(Navitimer B19 Chronograph 43 Perpetual Calendar 140th Anniversary)
型番: RB19101A1H1P1
直径: 43mm
厚さ: 15.62mm
ラグからラグまで: 49.07mm
ケース素材: 18KRG
文字盤: 18KRG
インデックス: アプライドバー
夜光: あり、スーパールミノバの時・分針
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ブラックアリゲーター、18Kゴールド製フォールディングバックル
モデル名: スーパークロノマット B19 44 パーペチュアルカレンダー 140周年アニバーサリー(Super Chronomat B19 44 Perpetual Calendar 140th Anniversary)
型番: RB19301A1G1S1
直径: 44mm
厚さ: 15.35mm
ラグからラグまで: 53.5mm
ケース素材: 18KRG
文字盤: グレースケルトン、ブラックサファイア製クロノグラフカウンター
インデックス: アプライドバー
夜光: あり、スーパールミノバの時・分針
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ルーローブレスレットから着想を得たラバーストラップ、18Kゴールド製フォールディングクラスプ
ムーブメント情報
キャリバー: ブライトリングB19
機能: 時・分・スモールセコンド、永久カレンダー(月・日・曜日・うるう年表示)、ムーンフェイズ、クロノグラフ(30分積算計)
直径: 30mm
厚さ: 8.53mm
パワーリザーブ: 約96時間
巻き上げ方式: 自動巻き(22KRG製ローター)
振動数: 2万8800振動/時
部品点数: 374
クロノメーター: あり、COSC認定
追加情報: コラムホイール、垂直クラッチ式クロノグラフ
価格 & 発売時期
価格: 各777万7000円
限定: あり、世界限定各140本
今回は濃いブルーのダイヤルとベゼルがあしらわれたブティックエディションである。
スペックや技術的な詳細は、既存のブラックベイ クロノから変更されていない。つまり、41mmのスティールケースで厚さは14.4mm、ラグからラグまでの長さは49.8mmである。ベゼルはアルミニウム製インサートを備えた固定式で、防水性能は200m。そして“ブルーブティック”には、チューダー独自のT-Fitを搭載したSS製の5連ブレスレットが装着されている。
内部には、スーパーコピー時計 代引き過去のブラックベイ クロノでも採用されていたMT 5813ムーブメントが引き続き搭載されている。これはブライトリング B01をベースにした2万8800振動/時(4Hz)の、コラムホイール式垂直クラッチ自動巻きムーブメントだ。また約70時間のパワーリザーブ、6時位置の日付表示、そして45分積算計のクロノグラフも備えている。
ブラックベイ クロノ ブルー ブティックエディションの定価は79万2000円(税込)で、世界各地のチューダーブティックで販売される予定である。
我々の考え
誤解を恐れずに言えば、もし“ブルーのブラックベイ クロノは存在するか?”と聞かれたら、答えを確信するのに5秒もかからなかっただろう。それほどクラシックなカラーであり、チューダーが新作を発表する際に早い段階でよく使用する色だからだ(ヘリテージ クロノ ブルー、ブラックベイ ブルー、ペラゴス FXD MN21など)。それほどまでにチューダーのラインナップでは定番のカラーだが、今回ブラックベイ クロノのブルーバージョンが登場するのは初めてである。そしてとても素晴らしい仕上がりだと僕は思う。ブラックよりも落ち着いていて、ホワイトダイヤルよりも控えめであると感じる。
要するに今回の話はこうだ。ブラックベイ クロノは基本的に同じだが、今回はブルーバージョンが登場したということ。色合いはミディアムダークでサンレイ仕上げ、シルバーのインダイヤル、そしていくつかの小さな赤いアクセントが特徴だ。全体として、BBクロノの外観は予想どおりとはいえ素晴らしいもので、スティールとブルーの組み合わせを引き締めるテーパードされた5連ブレスレット(T-Fit付き)が特に気に入っている。
なお(ジュネーブ・ウォッチ・デイズ開催中の)今週は、これが数日間のうち発表される唯一の新作ではないので、引き続き注目して欲しい。
基本情報
ブランド: チューダー(Tudor)
モデル名: ブラックベイ クロノ “ブルー” ブティックエディション(Black Bay Chrono "Blue" Boutique Edition)
型番: M79360B-0002
直径: 41mm
厚さ: 14.4mm
ラグからラグまで: 49.8mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤: ブルー
夜光: あり、針とインデックス
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: “T-fit”クイックアジャストクラスプ機能付きの5連SSブレスレット
tudor chrono blue
ムーブメント情報
キャリバー: チューダーマニュファクチュールMT5813
機能: 時・分・スモールセコンド、日付表示、クロノグラフ(45分積算計)
直径: 30.4mm
厚さ: 7.23mm
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 41
クロノメーター: あり、COSC認定(さらにチューダーが日差-2~+4秒の精度を保証)
追加情報: 非磁性シリコン製ヒゲゼンマイ
価格 & 発売時期
価格: 79万2000円(税込)
発売時期: 全国各地のチューダーブティックにて販売
グランドセイコーはスプリングドライブ キャリバー9Rの20周年を記念したふたつの限定モデルを新たに発表した。これはグランドセイコーがウォッチメイキングにおいて多大な貢献を果たした事実を称えるものであり、伝統的なゼンマイから機械的な力を得る一方で、電子および電磁部品を組み合わせることによってそれぞれ単体で使用するよりも大きな価値を生み出す“ハイブリッドムーブメント”というコンセプトを祝うものである。日差±1秒という驚異的な精度で知られるキャリバー9Rシリーズは、グランドセイコーの物語のなかで確固たる地位を確立。過去20年間以上にわたってグランドセイコーはこのコンセプトを進化させ、時刻表示のみの手巻きムーブメントから自動巻きクロノグラフGMTに至るまで数多くのバリエーションと、スプリングドライブの特徴を生かしたモデルを発表してきている。
Cal.9R31、手巻き式スプリングドライブムーブメント。
グランドセイコーのブランドに精通している人なら、こうした限定モデルは往々にして文字盤が真の主役であることを知っているだろう。そして今回のリリースにおいても、まさにそのとおりになっている。
ロレックススーパーコピー時計 代引きまずひとつ目のモデルであるSBGY035は、直径38.5mmで厚さが10.2mmだ。このモデルはほかのSBGYモデルにも見られるステンレススティール(SS)製のケースを採用しており、広く滑らかなケース形状は手首に密着し、ラグは比較的短い。グランドセイコーのデザインに通常見られるような鋭いエッジよりもより穏やかな傾斜を特徴としている。内部には手巻き式のCal.9R31を搭載しており、約72時間のパワーリザーブとスプリングドライブに期待される日差約±1秒の精度を誇る。
文字盤の外側に向かって暗くなるダークなグラデーションがいいアクセントになっている。
グランドセイコーが製造する文字盤の説明ではおなじみだが、SBGY035の際立った赤いカラーリングについてもブランドは詩的な表現を行っている。このモデルについては、「夜の静けさに包まれていた穂高連峰が朝日に照らされ、その輪郭がはっきりと浮かび上がり、美しい紅葉が現れる様子をグラデーションダイヤルで表現しました」とある。
ブランドの過去数年間のリリースを追っている人ならば、この文字盤のパターンが非常になじみ深いものであることに気がつくかもしれない。それはSBGA413“春分”(アメリカ限定モデル)や昨年発表されたRGモデルの傑作であるSBGY026“花筏(はないかだ)”と同じものであり、今回は美しい濃赤(こきあか)のフュメカラーが施されている。ビーズブラスト加工された“GS”ロゴやポリッシュ仕上げの秒針は、淡いローズアンバーゴールドで彩られた。この時計には赤茶色のクロコダイルストラップとデプロワイヤントバックルが組み合わされている。全世界で700本限定で、11月からグランドセイコーブティックと一部の小売店で販売が開始される予定だ。価格は116万6000円(税込)となっている。
この文字盤を見た瞬間、急にフルーツポンチが食べたくなった。
同タイミングでリリースされたもう1本のモデルが、自動巻きスプリングドライブを搭載したSBGA499だ。直径40.2mmで厚さは12.8mmと手巻きのSBGY035と比較して少しボリュームがある印象だが、ケースはより伝統的なフォーマットに則っているためより広い層への訴求が期待される。さて、この文字盤についてプレスリリースに書かれている詩的な表現を引用しよう。キャリバー9R 20周年記念モデルの2本目については、「鮮やかな赤色のダイヤルは、夜が明け、昇る太陽の光に照らされた穂高連峰がより一層輝く様子を表現」したとある。
自動巻きスプリングドライブムーブメントの特徴であるパワーリザーブインジケーターは7時から8時の位置に配置されており、本作では淡いRGの色合いでコントラストがつけられた。また、10気圧の防水性能がこの時計をより日常使いに適したものとしている。SBGA499の文字盤上でなめらかな動きを見せるCal.9R65は9Rファミリーで最初に作られたムーブメントであり、今回のリリースにはふさわしいムーブメントだといえよう。この時計は9月7日(土)から79万2000円(税込)で世界限定1300本で販売される。
SBGA499に搭載された自動巻きのCal.9R65。
我々の考え
グランドセイコーが限定モデルのために文字盤のカラーウェイを新たに提案するのは今回が初めてではないし、今回が最後というわけでもない。しかし実際にこれらを目にした際、その文字盤の美しさには驚かされた。私は普段、赤色を好まない。しかしとりわけSBGY035に関しては、中心に向かって明るくなる豊かな色合いのグラデーションとテクスチャーがこの時計に命を吹き込んでいるように見える。名作SBGA413“春分”が日本の繊細な桜の花を表現していたとすれば、この文字盤はまるで大きなチェリーパイの1片のようだ。ふたつ目の時計であるSBGA499では文字盤の色はさらに明るくなり、より強烈で電飾的な赤に感じられる。文字盤に施された鮮やかなサンバースト仕上げによって、よくも悪くも特に真昼間に目立つ時計であることは間違いない。私からすると少し赤が強すぎるため、もう少し暗めの色合いであればさらによくなると思うが、赤文字盤の愛好家からは異論が上がるかもしれない。
これらの時計が過去の多くのモデルのように地域限定ではなく世界中で発売されることを考えると、特にSBGY035においては非常に高い需要が予想される。SBGA499の数量がSBGY035のほぼ2倍であるのは価格帯によるものだと推測されるが、私からするとSBGY035のほうがはるかに魅力的な時計であり、特に限定版としてその価値が高いと感じる。欲をいえばSBGY035を限定1300本として欲しかったところだ。
基本情報
ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
型番: SBGY035、SBGA499
直径: 38.5mm(SBGY035)/40.2mm(SBGA499)
厚さ: 10.2mm(SBGY035)/12.8mm(SBGA499)
ケース素材: SS
文字盤色: レッド
インデックス: アプライド
夜光: なし
防水性能: 3気圧(SBGY035)/10気圧(SBGA499)
ストラップ/ブレスレット: 赤茶色のクロコダイルストラップ(SBGY035)/SS製ブレスレット(SBGA499)
ムーブメント情報
キャリバー: 9R31(SBGY035)/9R65(SBGA499)
機能: 時・分・秒表示、ケースバック側にパワーリザーブインジケーター(SBGY035)/時・分・秒表示、デイト表示、パワーリザーブインジケーター(SBGA499)
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 手巻き(SBGY035)/自動巻き(SBGA499)
石数: 30
クロノメーター認定: なし、ただし精度は±1秒/日
side view of GS
価格 & 発売時期
価格: SBGY035は116万6000円/SBGA499は79万2000円(ともに税込)
発売時期: SBGA499は9月7日(土)/SBGY035は11月9日(土)
限定: SBGY035は世界限定700本/SBGA499は世界限定1300本
シルヴァン・ピノー(Sylvain Pinaud)氏は、ボストンの独立系リテーラー、エスパーリュクス(EsperLuxe)と協力し、ピノーのタイムオンリーウォッチ“オリジン”を12本限定で発表すると明らかにした。これはエスパーリュクスがリテーラーとして5周年を迎えることを記念したものである。実物はまだ見ていないが、写真から判断するにこれまでのピノーの作品のなかで最も気に入っている。ハイエンドウォッチメイキングの一例として、その価格は決して安くないがそれだけの価値があるように感じる。
Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
新作オリジン“サント・クロワ(Ste Croix)”は、2023年のGPHGで“オロロジカル・レベレーション賞(Horological Revelation)”賞を受賞したオリジナルのオリジンを基にしている。ムーブメントには自社製の輪列とスイスレバー脱進機が搭載されている。特筆すべきはダイヤル側の6時位置に配置された13.2mmのフィリップスカーブ付きヒゲゼンマイである。秒針は10時位置にあり、時刻表示は2時位置のシルバートーンのフロステッド仕上げとサテン仕上げが施されたインダイヤルに表示される。この美しく際立つシンプルなレイアウトによって、ピノー氏のハンドクラフト技術が強調されているのだ。地板はフロステッドゴールド製で、オリジナルのオリジンにはなかった色味が加わっている。今回のモデルではダイヤル上の“Hand Made”表記が取り除かれたが、オメガスーパーコピー時計そもそもこの表記は不要だと感じていた。作品はそれ自体を物語っている。
Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
ムーブメントの裏側は一見シンプルに見えるが、やはり写真を見る限りその仕上げは裏側も素晴らしい。ムーブメントは手巻きで、パワーリザーブは約55時間。ケースはステンレススティール製で、そのシェイプはF.P.ジュルヌの時計をほうふつとさせるものであり、サイズは40mmで厚さは11mmだ。繰り返しになるが、優れた手作業には値段を付けるべきではない。だがもし値段を付けるとすれば、この時計は7万6900スイスフラン(日本円で約1315万円)となる。
Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
我々の考え
シルヴァン・ピノー氏はもっと注目されるべき時計師だと思うが、残念ながら彼の作品を実際に見たことはまだない。彼の作品は最高水準の品質に見えるが、現時点で発表しているのはわずかに異なるふたつのデザインを持つモデルだけであり、これが彼自身のスタイルとして確立されたものかどうかははっきりしていない。ただ個人的にはそうであってほしいと願っている。というのも、どの要素を見ても素晴らしく、特にテンプやブリッジ、ダイヤルのパーツ、ブリッジのシェイプなど、どれも非常に緻密に計算されているように感じるからだ。
Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
いくつか気になる点もある。たとえば通常テンプが収まるはずの背面の隙間が、まるで何かが欠けているように目立つ。しかし、これもひとつの魅力かもしれない。確かにその隙間が視覚的な緊張感を生み出しているようだ。
エスパーリュクスについては、昨年のクリストファー・ダブール(Christopher Daaboul)氏に関するプロフィールを記事で紹介したことを覚えているかもしれない。彼は長年にわたり情熱的なコレクターであり、独立系時計師たちを支持し、現在では5年間にわたり独立時計師たちの小売業者としても活躍している。彼は2021年にZoomを通じてシルヴァン・ピノー氏と出会い、その後サント・クロワ地方にあるピノー氏のアトリエを訪れたそうだ。ダブール氏によればこの時計はサント・クロワ地方のウォッチメイキングからインスピレーションを得ているという。正直なところ、その地域の時計製造については詳しくないため細部までは分からないが、写真を見る限りこのオリジンのバージョンが個人的には一番気に入っている。
Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
ゴールドフロステッド仕上げが施された地板は、F.P.ジュルヌやフェルディナント・ベルトゥーの美学を思わせる伝統的な雰囲気を醸し出している。このような時計にうまく調和しており、特に前面に大きく配置されたテンプとの相性が抜群だ。また発売時のシルバートーンのオリジンよりも視認性が高いように感じられる。SSケースの時計で7万6900スイスフラン(日本円で約1315万円)という価格は驚くかもしれないが、その価格はオリジンに見合うハンドクラフトとハンドフィニッシュのレベルに見合ったものだと言える。そういった意味では、ピノーの時計を実際に見る努力をしなければならないと再認識させられた。
Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
基本情報
ブランド: シルヴァン・ピノー(Sylvain Pinaud)
モデル名: オリジン“サント・クロワ”(Origine "Ste Croix")
直径: 40mm
厚さ: 11mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: サークルポリッシュとサブラージュ仕上げの中央部分に、ゴールドフロステッド仕上げを施した地板
インデックス: 青焼きされた時・分・秒針
夜光:なし
ストラップ/ブレスレット: カーフレザーストラップ、SS製デプロワイヤントバックル
Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
ムーブメント情報
キャリバー: オリジン
機能: 時・分表示、スモールセコンド
直径: 33.8mm
厚さ: 6.9mm
パワーリザーブ: 約55時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
追加情報: 自社製脱進機と可変慣性テンプ(テンプ径13.2mm)、フィリップスカーブ付きヒゲゼンマイ
価格 & 発売時期
価格: 7万6900スイスフラン(日本円で約1315万円)
発売時期: エスパーリュクスを通じて発売中
限定: あり、世界限定12本
シチズンブランドの始まりとなる懐中時計“16型”が、尚工社時計研究所により世に送り出されてから今年で100周年。この9月にもメーカーとしての大きな節目を祝うべく、鮮やかなブルーダイヤルを持った限定モデルが登場する。ベースとなるのは、昨年発表されたシリーズエイトの完全新作である880 メカニカル。文字盤には東京の都市を表したという市松模様は見られず、代わりにブルーグラデーションをかけたMOP(白蝶貝)が収まっている。シチズンはこれまでにも100周年記念モデルとして、16型を思わせるチタニウム合金の懐中時計に始まり、構造色インクによる文字盤で“ときの積層”を表現したブランド横断コレクションの「LAYERS of TIME」、藍染和紙文字盤を使用したザ・シチズンと立て続けにリリースを行なってきた。いずれも質感豊かな文字盤加工によって、100周年を記念するとともにシチズンの高い表現力を示すようなモデルとなっている。
ケースカラーはメッキによるグレーとブルーのコンビだ。ウブロスーパーコピー 代引きこのグレーは別体構造となったミッドケースや中ゴマのグレーブルーとトーンが近しく、コントラストを抑えて落ち着いた雰囲気を漂わせている。一方で両方向回転ベゼルにはメリハリが効いた黒青のベゼルインサートが使われ、これによって時計全体がピリッと引き締まっているように見える。
ケースサイズは従来のモデルと変わらず、直径が41mmで厚さは13.5mm、ラグからラグまでが47.8mmだ。10気圧の防水性能と2種耐磁を加え、2万8800振動/時で駆動して約50時間のパワーリザーブを備えるCal.9054を搭載している。そしてもちろん、今作も時針単独修正機能を持つ“Flyer”GMT(もしくはトゥルーGMT)である。
文字盤にMOPを使用した分、価格は通常モデルからは少々アップしたが、それでも27万5000円(税込)とまだまだ手に取りやすいレンジに収まっているのはありがたい。本作は世界限定2200本で展開され、9月12日(木)から販売が開始される予定だ。
ファースト・インプレッション
立体的でインダストリアルなベゼルに幾何学模様の文字盤を合わせた、通常モデルの男らしい顔立ちも好きだった。だが、本作で文字盤一面にあしらわれたブルーMOPは光を受けて輝く水面を覗き込んでいるようで幻想的である。SSケースに施されたグレーのメッキは、時計全体で見たときにブルーのMOPをひと際強調しているようでもある。僕はツールウォッチのデザインにMOPという組み合わせに好意的だ。無骨な表情のなかにMOPらしい品のあるニュアンスが加わることで、肩の力が抜けたような柔和さとほんの少しのプレミアム感が加わる。昨年発表されたなども、日常生活にはオーバースペックなU1の文字盤をMOPに変更したことでライフスタイルに落とし込みやすい顔に仕上がったと感じた。まあ、シリーズエイトはそもそも“身につけることでその人の持つライフスタイルを表現”するというコンセプトの時計であるために、提案の幅を広げるべくMOPを取り入れたと考えるべきだろう。スポーティかつソリッドな印象が強い通常モデルと比べ、文字盤には魅惑的で上品な雰囲気が漂う。
今回、記事の撮影にあたってはネイビージャケットに合わせてみた。時計の存在感が強いため、シンプルに白シャツの袖口に巻いてもいいだろうが、ダークトーンのトップスと合わせることでブルー文字盤がよりいっそう際立つ。個人的に高く評価したいのが、GMT針と中ゴマの色だ。従来モデルでは視覚的な見やすさからオレンジだったGMT針は、文字盤に近いブルーに変更された。GMTウォッチとしての機能性は少々損なわれるものの、限定モデルとしてのプレミアムな美観のなかでこの針が果たす役割は大きい。加えてブレスの中ゴマをブルーにしたことで、正面から見たときに文字盤とリンクして時計全体に一体感が生まれている。ミッドケースのブルーもそれを補完しており、シリーズエイトの特徴である別体構造を生かしたディテールとなっている。
2023年秋に、レギュラーモデル2型とともに発表された880 メカニカルの限定モデル Ref.NB6032-53P。
この100周年記念モデルは限定販売となり、今を逃せばもう手に入ることはない。昨年秋に登場したゴールドの限定モデルは1300本が早々に完売してしまったことから、世界限定2200本とはいえ動きは早いだろうと予測している。個人的に、今回の限定モデルでは880 メカニカルとMOP文字盤とのあいだに強いシナジーを感じた。昨年9月には日本の秋にインスピレーションを受けたという限定のゴールドモデルを出していたが、その文字盤をMOPに変えてもマッチしそうだ。なるべく写真でもMOPの透明感が伝わるように撮影したつもりだが、ぜひ1度光の下で実物を確認してみて欲しい。
基本情報
ブランド: シリーズエイト(Series 8)
モデル名: 880 メカニカル 「 CITIZEN」ブランド時計 100周年 限定モデル
型番:NB6036-52N
直径: 41mm
厚さ: 13.5mm
ケース素材:グレーおよびブルーのメッキを施したSS製
文字盤色: ブルーMOP
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: グレーおよびブルーのメッキを施したSS製
ムーブメント情報
キャリバー: 9054
機能: 時・分・秒表示、デイト表示、第2時間帯表示機能
パワーリザーブ: 約50時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24
追加情報: 2種耐磁
価格 & 発売時期
価格: 27万5000円(税込)
発売時期: 2024年9月12日(木)
限定: 世界限定2200本
素材はオール樹脂で、耐衝撃性と防水性を備えながらも厚さわずか11.8mmというG-SHOCKとしては驚きの薄さを実現していた。この軽量でスリムなデザインが、頑丈さにファッション性を併せ持ったモデルとして多くのユーザーに支持された。
この成功を受けて、のちにメタル素材を取り入れたモデルが登場するなど2100系は進化を遂げている。パネライスーパーコピー時計 代引き最新作のGM-2110Dもその流れを汲み、メタルカバードデザインを採用している点が特徴だ。これはフルメタルではなく、樹脂ケースをメタルで覆う構造であり、軽量性と耐衝撃性を両立させている。今回、進化を遂げた一歩として5色の鮮やかなカラーダイヤルがラインナップ。スカイブルー、ネイビー、ライムグリーン、オレンジ、シルバーという豊富なカラーバリエーションが揃い、個性を表現したスタイルを楽しめる点が大きな魅力だ。
ケースにはガラス繊維入りのファインレジンを使用し、薄型のケース厚(11.8mm)を実現。サイズは44.4mm径、重さは146gとしっかりとした重量感があり、その色鮮やかさはまさにタウンユースにぴったりなモデルだ。
機能面では、G-SHOCKならではの耐衝撃構造や20気圧防水に加え、針退避機能やワールドタイム表示、ストップウォッチ、タイマー、フルオートカレンダー、ダブルLEDライトを搭載。電池寿命は約3年である。価格は各6万500円(税込)で、9月に発売予定。
ファースト・インプレッション
G-SHOCKファンが気になるポイントはよく分かる。従来の2100系のブレスレットとは違う、と感じるだろう。そう、新作は2100系で初めて、ディンプルのアクセントが廃されたシンプルなブレスレットが採用されたのだ。
今年の6月に登場したGM-B2100AD。まだこの時点では各コマにふたつのディンプルがあしらわれている。Photos by Mark Kauzlarich
新作ではディンプル(各コマの両端にある、丸いネジのように見えるもの)のアクセントがなくり、ポリッシュ仕上げからヘアライン仕上げに変更されたことにより金属の印象がより落ち着いたものとなった。よりクリーンでミニマルな外観を実現しているように思う。
どちらがデザイン的に優れているか、それは個人の好みによる。私はまだ実機を見ていないので判断できないが、ディンプル付きのデザインに見慣れているからか正直まだその見た目に完全になじめていない。でもシンプルさを追求したブレスレットにはまた違った独自の魅力があるとも感じている。実際に手に取ってみて、質感や装着感がどう変わったのかも確かめてみたいと思う。
基本情報
ブランド: G-SHOCK
モデル名: GM-2110D
型番: GM-2110D-2AJF(スカイブルー)、GM-2110D-2BJF(ネイビー)、GM-2110D-3AJF(ライムグリーン)、GM-2110D-4AJF(オレンジ)、GM-2110D-7AJF(シルバー)
直径: 44.4mm
厚さ: 11.8mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: スカイブルー、ネイビー、ライムグリーン、オレンジ、シルバー
夜光: ダブルLEDライト
防水性能: 20気圧防水
ストラップ/ブレスレット: ワンプッシュ三つ折れ式バックル付きSS製メタルバンド
追加情報: 針退避機能、ワールドタイム表示、ストップウォッチ、タイマー、フルオートカレンダー
ムーブメント情報
機能: 時・分・秒表示
パワーリザーブ: 電池寿命約3年
巻き上げ方式: クォーツ
Ref.3448は、私のお気に入りのヴィンテージリファレンスのひとつである。ケースが磨かれていない状態のシャープなラグと、シンプルな文字盤のレイアウトには非常に洗練された魅力がある。そのためサザビーズで非常に貴重なRef.3448が出品されると聞いたとき、私は実物を見に行かざるを得なかった。これからご覧いただくのは、おそらくあなたが1度も見たことがないであろうものだ。パテック フィリップスーパーコピー時計 代引き Ref.3448のWG製ケースに、後年のRef.3450に見られるYG製ケースが予備として付いている。さあ、これがコンバーチブル(変更可能)なパテック フィリップだ。
Patek Philippe 3448 Convertible
このWG製Ref.3448にはまったく異なるケースと文字盤、針、リューズが付属している。これらはすべてYG製だ。
そう、言葉どおりだ。この時計はサザビーズ・ニューヨークでオークションに出品される予定(記事執筆当時)だが、1966年にWG製のRef.3448として誕生し、1967年に初代オーナーが購入した。その後YG製のバージョンが欲しいと思い立ったオーナーは、1986年にパテック フィリップに手紙を書いてYG製のケースとそのためのダイヤル、針を作ってもらい、気分によってムーブメントを入れ替えられるようにできないかと依頼した...…、 そしてパテック フィリップはこの要望に応じたのである。
Patek 3448 White
Patek perpetual 3448
唯一違ったのは、パテック フィリップが提供したのがRef.3450のYG製ケースだったことである。Ref.3450は1981年に発表されたRef.3448の次世代機であった。パテック フィリップはまたYGのインデックスが付いたRef.3448用のダイヤル、それに付随する針とリューズも供給した。最も驚くべき点は、そのすべてが事細かく記録されていることだ。オリジナルのRef.3448にはオリジナルの証明書が付いており、追加のケースについては今年新たに入手したアーカイブの抜粋によって確認されている。サザビーズには顧客とパテック フィリップとのあいだでやり取りされていた複数の手紙もあり、それがこの一連の出来事を裏付けている。
Patek 3448 Convertible Sothebys
ひとつでふたつの時計が楽しめる!
パテック フィリップが個別注文を受けることは非常にまれであるため、このようなことが実際に起こったという事実は非常に驚くべきことだ。さらにこの時計が非常に希有な出来事に関する完全な書類を伴い、良好な状態で残っているということもこの時計をいっそう驚くべきものにしている。
Patek 3448 wristshot
このロットの推定価格は30万ドルから50万ドル(当時のレートで約3600万〜6000万円)である。一般的にWG製のRef.3448は25万ドルから45万ドル(当時のレートで約3000万〜5400万円)で販売されており、YG製のものは8万ドルから15万ドル(当時のレートで約960万〜1800万円)で販売されている。2014年にはジュネーブでWG製の特別なRef.3448が31万1000スイスフラン(当時のレートで約3920万円)で販売されているため、オークション当日の午後、これらの時計の評価がどうなるかは興味深いところである。